2024/06/21その他
<生産者との取組み> 小豆「北海道十勝産エリモショウズ」
小豆「北海道十勝産エリモショウズ」
北海道河東郡音更町「株式会社 山本忠信商店」https://www.yamachu-tokachi.co.jp/
榮太樓總本鋪がお菓子作りに使う小豆は北海道十勝産の「エリモショウズ ※1」 を使用しています。特徴は香りの高さと風味が強いところで、炊くと実がホクホクとなり、榮太樓がこだわるつぶし餡に向いています。そんな榮太樓がこだわるエリモショウズを追い求めて、生産地の北海道十勝よりリポートいたします。
広大な敷地をもつ北海道だから生産出来る小豆ですが、実は毎年同じ畑に植えることが出来ないそうです。その理由は一度収獲した後の畑は土地が痩せてしまうから。小豆以外の小麦や野菜、甜菜など作物を植えることで失った栄養素を土に還し、病虫害を避ける手法を「輪作(りんさく)」といいます。通常の小豆は4年の輪作が一般的ですが、エリモショウズは倍の8年かかると言われます。これだけ手間がかかることで年々栽培面積も減っており、稀少な小豆となっているのです。
その稀少な小豆を農家さんと直接契約栽培、販売している北海道音更町に本社を置く山本忠信商店様が、2009年に「ビーンズ倶楽部 ※2」を発足されました。現在100以上の生産者が加入しており、今回訪問した「柴田農場」の代表 柴田直人さんもその加入者の一人です。
近年北海道も猛暑が長く続き作物に多大な影響が出ています。そんな中で毎年苦労することはとにかく雑草との格闘。作物にとって雑草は大敵。成長期に行われる2回の薬の噴霧で枯れない草はすべて手で抜いているとのこと。とくに薬は日中風が吹くと撒けないので、朝3時から作業が始まるようです。
「ここからが本番。作物は毎年が一年生、気候も毎年変わり同じ条件で同じものは作れない」と柴田さんは言います。
まさに広大な大地で果てしない苦労が想像できます。 それでは写真とともに、生産者訪問の状況と、音更町名物の山本忠信商店様主催の「第15回山忠祭」の状況をご紹介いたします。
※1 エリモショウズとは‥1983年にあずき農林4号として登録された品種。かつては半数を占めていましたが、北海道十勝で収穫される品種の中で現在は20%程度しかなく、年々道内での生産量は減っていると聞きました。原因は非常に病気(アズキ落葉病)に弱いことのようです。お気づきかも知れませんが、「エリモショウズ」の名前の由来は、風雪の厳しい風光明媚な「襟裳岬」にかけて付けられました。
※2 ビーンズ俱楽部とは‥2009年に山本忠信商店と豆類契約栽培を行う農業生産者が集まり、豆の作付面積日本一の十勝から豆類の魅力を全国へ発信しようと発足されました。現在100以上の生産者が加入しており、さらなる高品質化に取り組むことを目的に活動をしています。
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北海道河東郡音更町にある生産者「柴田農場」。看板やイラストがとても可愛らしいです。
トラクターを見せていただきました。ピカピカに磨かれた車体を見て柴田さんの優しさと愛情が伝わってきます。
見渡す限り果てしない広大な大地。
種まきから約一ヶ月。小さな芽が顔を出しています。
手前が雑草。これが小豆にとって最大の天敵であります。一定期間ではなく、収獲まで雑草と格闘が続くそうです。長く、果てしない戦いですね。
私たち榮太樓が美味しいお菓子を作れるのも生産者様のおかげです。柴田農場のみなさま。
6月15日(土)豆類販売会社の山本忠信商店様主催のイベントに参加してきました。榮太樓のイベント出店は今回で4回目(2018年より)。天気は曇り、気温は22度と湿気がなく少し肌寒い一日でした。
こちらでは十勝産エリモショウズを使った「粒焼大福」を販売。職人は銅板で天面をどんどん焼き上げていきます。この大福は催事などでしか扱わない限定品です。
見てください、この素晴らしい焼き加減。つぶつぶもちもちの生地の天面を香ばしく銅板で焼き上、ほのかに香るごま油がたまりません。右上は収穫後のエリモショウズ。小粒で色が濃いのも特徴です。
開店10時過ぎの様子。既に店前には大福を求めるお客様。皆さま順番に並んでいただきご協力に感謝です。
榮太樓の大福を楽しみに来てくれたお客様。その笑顔がとても嬉しいです。中には最大で40個買っていくお客様もいらっしゃいました。
会場では様々な食品ブースが出店しており、中にはお餅を上から撒くイベントも。これには来場客も思わず飛びつきます。これまた恒例行事のようです。
今回の北海道レポートは以上です。
9月下旬頃の収穫までこれから小豆は青々とぐんぐん成長していきます。昨年令和5年度産は猛暑により不作の年と言われたようです。適度な気温と雨量が望ましいところですが、今年は豊作であって欲しいですね。
ここからの季節が本番で、真夏には日陰もない広大な大地で働く皆さまから、直接色々なお話を聞けたことは非常に貴重な体験で勉強になりました。ここで収穫された小豆は、大福や金鍔として消費者に届けていきます。最終的にはお菓子を食べたお客様の笑顔を見ることが私たちの喜びです。
これからも榮太樓は美味しい菓子づくりを続けていきたいと思います。