2024/08/30その他
彌榮守主大神(やさかもりぬしのおおかみ)通称:榮太樓神社 前編
榮太樓總本鋪 八王子工場の北側一角に1.2m×1.2mほどの小さな社殿があります。彌榮神社といい、もとは2013(平成25)年春まで稼働していた前工場(調布工場)の屋上にあったものです。1962(昭和37)年に工場の安全、事業の繁栄、五穀豊穣への祈願を込めて建立されました。60余年にわたり工場を見守ってきてくれた社殿も老朽化に伴いこのたび再建することになりました。本殿の中でお祀りしている主祭神は「彌榮守主大神(やさかもりぬしのおおかみ)」と言い、食物(稲や穀物)の神様です。別名稲荷神“お稲荷さん”として広く信仰されています。元々このお稲荷さんは土地を守る神様ということのようです。今回再建プロジェクトを請け負っていただく宮大工さんは昭和後期より東京都八王子市で伝統建築を未来へ受け継ぐ寺社建築を手がける「株式会社吉匠建築工藝(よししょうけんちくこうげい)」さんです。
数々の有名神社仏閣や文化財修理を手がけている吉匠建築工藝さんとは同じ八王子市という繋がりでご一緒することになりました。社殿・覆屋は木材そのものを大切に染色は一切行わない、その想いは菓子作りで素材の良さにこだわりをもつ榮太樓總本鋪と通ずる親近感を感じました。現在の社殿は8月1日に神職を招き御神体を移す「御魂抜きの儀式※」を執り行い、現在は新しい社殿完成まで仮安置しています。これまで長い年月お守りいただいた旧社殿はこのまま解体するのではなく、何か形にして残したいという強い想いもあり、宮大工さんへ相談をしています。最終的にどのような形で残るのか興味深いところであります。
※御魂(みたま)抜きの儀式とは・・・神官の読経を行うことで魂を宿らせていた御本尊(仏像)やお位牌、お墓などに対し再度読経を行い魂を抜く儀式のこと。別名「開眼供養(へいげんくよう)」や「お性根抜き(おしょうねぬき)」などとも呼ばれます。仏壇やお墓を物体に戻すことで、主にご本尊などを処分する際や、お墓を移転する際などに行っていただくことが多いです。今回は新しい本殿を建立するにあたりこれまで守っていただいた御神体を旧本殿から移転する目的のための儀式でした。
ここからは写真とともに再建プロジェクトをご説明します。
現在の八王子工場内で見守っている彌榮(やさか)神社(通称榮太樓神社)
新しい社殿を雨風からお守りする覆屋(おおいや)に使用するヒノキ。奈良の吉野から厳選して取り寄せたものです。耐湿、耐水性にも強くすべての面で優れた材質です。
吉匠建築工藝棟梁の吉川輔良さん(写真中央)より再建プロジェクトについてご説明。
続いて鳥居の木材です。間近で見るとその大きさに驚かされました。一同驚きの言葉が第一声です。
再建プロジェクトチームと記念撮影。前列は吉匠建築工藝のみなさま。
去る8月1日、現在の社殿より御神体を移す「御魂抜きの儀式」の様子。
神饌前には八王子繋がりで宮大工吉匠建築工藝さんからの奉納品と弊社八王子キャンディーをお供えしました。
御神体を抱えながら仮安置場所へ移動する神職。神様が宿ったその姿に圧倒されました。
吉匠建築工藝の吉川社長自ら儀式後の社殿をスキャンニング。どのような姿として残されていくのでしょうか。
旧社殿の撤去、解体工事が始まりました。
旧社殿の解体撤去作業の様子。62年の歳月を経ていよいよ解体の時が来ました。
ここから完成に向けて現在工事着工中です。完成は9月9日(月)。同日に行われる秋の例大祭で御神体を新しい社殿へ御魂入れします。62年ぶりに建立する新しい社殿。今後の新しい榮太樓を末永く見守っていただきたいという願いとともに完成の日が待ち遠しいです。
広報部