2025/03/13その他
沖縄黒糖の伝統と技術を次世代へ繋げていきたい
<生産者との取組み> 沖縄県黒糖① 北村ご夫妻インタビュー
今回小浜島・西表島の生産地へ訪問し、黒糖についてお話を伺ってきましたので、三回に分けてリポートいたします。沖縄黒糖生産地よりレポート一回目は、JAおきなわ小浜製糖工場に勤務する北村晃子さんのご主人でサトウキビ農家の北村浩吉さんに今後の黒糖づくりへの想いや離島での生活のお話を直接伺ってきました。
▲小浜島生産農家の北村浩吉さんと晃子さん。
北村さんご夫妻、元々は本州住まいで小浜島出身ではなければ、農家の経験もありません。浩吉さんは農家をやる前は陸上自衛隊に所属しており、旅の資金稼ぎで仲間からのクチコミを聞いて約30年前に小浜島製糖工場に季節工として来島されたことがきっかけでした。三度ほど海外と小浜島を往来し、小浜島の魅力に惹かれてそのまま移住を決めたといいます。移住後は4年ほど農業生産法人でアルバイトを経て、その後小浜製糖工場に勤務しながらサトウキビ栽培を並行して独立、今に至ります。晃子さんは移住前は介護福祉士をしており、15年ほど前に八重山地方に旅行中、農業作業ボランティアにサトウキビ刈りの誘いを受け1シーズン参加したことがきっかけ。その時に現場にいたご主人と出会い、そのまま結婚、移住しました。本州から離島へ移住した北村さん夫妻に小浜島の魅力を聞きました。
黒糖との出会いは小浜島にきて初めて食べその風味の良さに感動。「小浜島でやっていこうと決めたことはコンパクトで生きやすいこと。自分たちが生きることに必要なものはすべてこの島に揃っている」という。小浜島の黒糖は柔らかい潮風に運ばれた海のミネラルがたっぷり、新鮮なサトウキビで作られます。まろやかで深いコクと、ほんのりした塩味が特徴で、お菓子づくりの材料やパン、ベーグルに使ったり、ソーキを煮込むときにも黒糖を使っているそうで、お子様も黒糖蒸しパンが大好物。生活の一部として黒糖が根付いていることを感じました。
「小浜島の魅力は伝統芸能をとても大切にすること。昔からの伝統を受け継ぎ人々の繋がりがとても深い。移住して感じたことは、島の年配者を敬う姿がこんなにも生きていることに驚きました」。人間関係が希薄している世の中ですが、小浜島は温かい場所なのだとお話を聞いて強く感じました。サトウキビ栽培と現状と黒糖づくりについての課題を伺いました。
「小浜島の農家は約60軒ほどあるなかで、農家の年齢層は60歳以上という高齢地域です。39歳以下はわずか7%しかいないため、農家の若返りが必要」といいます。「品種改良がだいぶ進み、虫が出にくい株出が増えてきた。小浜島の年間目標生産量は5,000t。現在は約4,300tほどで、畑の面積が限られていることから、どれだけ早期の段階からサトウキビの高さを伸ばすことができるか、生産性を上げて単収を上げられるか課題は多いが、まだまだ小浜島の生産量は伸び代があるはず」だという。離島に住む島民の方たちは自分たちが作った黒糖がどのような商品になるのかを、もっと知って欲しいと話します。「ぜひ小浜島の商店でも売っていきたい」と熱い想いを語ってくれました。
▲当社の黒飴を小浜島の農家さんにお届けできました。「榮太樓さんは昔から作ってくれているのよね」「美味しいね、どこに行ったら買えるの?」と嬉しいお言葉をいただきました。
最後にこれからの後継者に向けてメッセージをいただきました。「これからサトウキビづくり、黒糖づくりに携わる人々と連携を深め、栽培や品種についてもっと追求していきたい。そして自分たちの代でしっかりと機械化を進め、身近にある産業を選択肢としてもってもらえるよう楽しく経験させてあげたい。400年続く沖縄黒糖の伝統をしっかりと次世代へ繋げ、持続できるような環境づくりを実践していきたい」
北村さんの熱い想い、しっかりと届きました。収獲期の忙しいなか、貴重なお時間をいただきありがとうございました。私達は沖縄黒糖の魅力をもっと商品を通じてしっかり伝えていきたい、生産者の声を聞き改めて強く実感しました。
広報部